Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 368.567 Zeichen · 720 Bildschirme
「誰やら尺八を吹いておりますね、あれは鈴慕の曲でございます」
かく無雑作に言って、また仔細らしく小首を傾けたものであります。
ただし、弁信が感心をはじめた時分には、もう曲は済んでしまったものと見えて、弁信は姿勢をくずして、炉辺の火箸を取って、火をかきならしました。
二
弁信が鈴慕の一曲を聞き終って、ホッと息をついた時に、天井の煤竹の簀子から、自在竹を伝ってスルスルと下りて来たピグミーがありました。
籠目形の鉄瓶のつるへ足をかけて、ひょいと炉べりへ下り立つと、無遠慮に弁信と向い合ったところへムズと小さなあぐらをかいてしまい、十年の親しみがあるようになれなれしく、
「弁信さん、淋しいね」
「あい」
「弁信さん、いやに澄ましこんでるじゃないか」
「ええ、そういうわけでもありません」
「もう少し火をお焚きよ、おいらがこの杉の葉をかぶせてやらあ」
ピグミーは、杉の枯葉を一つ一つ取って炉の火に加えると、火の色が珊瑚のように赤くなりました。
そこでピグミーは、仔細らしくあごの下へ手を当てて、火の光をながめて、何か弁信の話しかけるのを待っているかのように見えます。