Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme
「御精が出ますね」
「うん」
米友も鍬を休めていると、お雪ちゃんはだんだん近寄って来て、
「少しお休みなさい」
「どーれ」
と言って、米友は鍬を投げ捨てて、まだ掘り起さない掛けごろの一つの木株へどっかと腰をおろしたが、さて、こういう場合に、抜かりなく、間のくさびにもなり、心身疲労の慰藉ともなるべき――アメリカインデアン伝来の火附草をとってまず一服という手先の芸当が米友にはできません。腰を卸したまま、両手を膝に置いて、猿のような眼をみはって、お雪ちゃんの面を見つめたままでいますと、
「友さん、一ついかが」
と言って、お雪ちゃんが目籠の中から、珊瑚の紅のような柿の実を一つ取り出して、米友に与えました。
「有難う」
米友は、腰にさしはさんでいた手拭を引出して、いまお雪ちゃんから与えられた珊瑚のような柿の実を、一ぺん通り見込んでから、ガブリとかぶりついて、歯をあてるとガリガリかじり立てました。
「甘いでしょう」
「甘めえ」
「もう一つあげましょう」
「有難う」
お雪ちゃんは、まだ幾つも目籠の中に忍ばせているらしい。それを一度に幾つかを与えては、当座の口へ持って行く手順に困るだろうと心配して、わざわざ一つずつ目籠から出しては米友に与えるものらしい。