Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme
「むいて上げましょうか」
「いいよ、いいよ」
お雪ちゃんは摘草用の切出しを目籠の中からさぐり出して、米友のために柿の実の皮を剥いてやろうと好意を示すのを、米友はそれには及ばないと言いました。それはそうです、米友として、皮と肉との間のビタミンを惜しんでそうするわけではないが、この珊瑚のような小粒の柿の実を、お上品に皮を剥いたり、四ツ割りにしたりして、しとやかに口中へ運ばせるなんていうことはガラにないのです。米友に柿の実をあてがって置いて、お雪ちゃんが、
「友さん――お前に聞きたいと思っていましたが、あのお嬢様という方は、いったい、あれはどういう方なのですか」
柿の実で買収して置いて、それから探訪の鎌をかけようというお雪ちゃんの策略でないことはわかっているし、米友とてもまた、昔噺の主人公と違って、柿の実や、握飯の一つや二つで買収される男ではないにきまっているが、つまりお雪ちゃんは、この機会に於て、このあたり静かな、そうして、後ろには山形雄偉なる胆吹山が傲然として見張りをしている、新開墾地の人無きところで、日頃から尋ねんと欲して尋ね得なかった腑に落ちない条々を、この人によって解釈してみたいと念じていた希望が、偶然ここへ現われただけのものでしょう。