Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

米友には、そうしてお銀様を避けなければならない心の引け目というものが少しもないから、引続いて木の根を掘りくずしに取りかかっているぶんのこと。

「友さん」

「何だい」

暫くあって、尋常一様の応対がはじまりました。いつしかお銀様は、米友の丹念な木の根掘りの前に立っている。米友は特に頭をもち上げないで、仕事の手をも休めないで、

「何か用かい」

と答えました。

米友としては、この人が来たために、特に仕事の手先まで休ませて敬意を表さなければならない引け目を感ずるということなく、また、さいぜんお雪ちゃんをあしらったように、ともかくも木の根へ腰を卸して応対するほどの必要を認めなかったのか、それとも、人の来る度毎に手を休めて株根へ腰をかけていた日には際限が無いとでも思ったのか、そのままで仕事をしていると、

「ずいぶん骨が折れるでしょう」

と、先方からお世辞を言いますと、

「なあーに」

米友は、鼻の先で返事をしながら、傍目もふらずに鍬を使っていました。

こういう働きぶりは、二宮尊徳に見られると非常に賞美される働きぶりなのですが、米友は、賞美されんがためにこうして働いているわけでもなく、お銀様もまた、使用人の勤惰を見るつもりでここへ来たのではありませんでした。