Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme
あるように思われてならぬ。
そうして見ると、決して日の光を一帯にかぶっているわけではない、日の光とは全く違った、たとえば蛍の光を鮮紅にしたように、光は光に相違ないが、それは熱のない光である。つまり、月の光に血が交ったらこんな色になるかもしれないと、お雪ちゃんは全くいやな思いで、この湖面を左右に見ながら、こうなってもなお、お銀様のあとを追わなければならない自分の無力のほどを、自覚する余裕もありません。
「ここが弥三郎の百間廊下ですよ、千人座敷へ行くまでには、また暗くなりますから、御用心なさい」
果して、この天然の大廊下を少し行くと、また真暗闇になってしまいました。
「足もとにお気をつけなさい、水があります、水が流れています、妙にベトベトした水ですけれど、血ではありませんから、怖がるには及びません」
ハッとお雪ちゃんは、その水たまりの中に爪先を踏み込むと、なるほどなまぬるい。こんな奥まった岩窟の間から湧き出す清水だから、こんなに生温いはずはありようはない。血ではないとあらかじめ予告をされたから、かえってこれは、生血がどろどろ流れているのではないかと、お雪ちゃんが二の足を踏むと、お銀様から、