Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

「何だ、それは」

「まあ、お坐り下さいまし、これをあなたに持たせて上げなければ……」

と言って、女は着ていた旅姿の上着をかかげはじめて、前の襟をグッと押しひろげ、そうして下腹の方へしきりに手を入れてはたくしあげているのを、兵馬は見て見ないふりをしていると、やがて女は、友禅模様の縮緬の胴巻をするすると自分の肌から引き出して、それを草原に置きました。

「ねえ、宇津木さん」

「何です」

「これをごらん下さいまし。ただごらん下さるだけじゃいけないのよ、ここまでは、わたしが持って来ましたけれど、これからはあなたに持たせて上げなけりゃ、わたしがやりきれません」

と言って、女はその胴巻をまた取り直すと見ると、なるほど、ずしりとかなりな重味です。ははあ、金だな、金として見ると相当な大金だ、この女、商売柄に似合わず心がけがよい、今日まで稼ぎためて、この際、最も有効に持ち出したものだろう――と、兵馬が横目に見ていると、女はその胴巻を無雑作に吊し上げて、蛇の腹をでも逆さにしごくように持ち上げると、スルスルと中からおもみのあるものが、花野原に向って吐き出されました。

「宇津木様――これから、このお宝をそっくりあなたにお引継ぎいたしますから、よろしいように」