Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme
「それはあるさ、生きている以上は」
「何ですか」
「生きているために必要な要求ぐらいは、聞かなくたって分りそうなものだ」
「米ですか」
「は、は、は」
「肉ですか」
「は、は、は」
「血ですか」
「は、は、は」
「そうでしょう、あなたは生ている肉か、温かい血でなければ召上れない人なんですから、それは、わたしが先刻御承知ですから、いくらでも御意のままに供給して上げますよ。ですけれども、ここにいるような、いたいけな、やわらか過ぎるのはいけませんよ、こんなやわらかな肉ばかり食べていると、狼の牙が鈍ってしまいますね。脂ののった、もう少し肉のただれた、そうして歯ごたえのある骨つきの肉でなければ、食べてはなりません」
「は、は、は」
「今、あなたの要求する、ちょうど、あなたのお歯に合うようなよい肉を、わたしがそこへ持って行ってあげるから」
お銀様の言葉が、ここで異様に昂奮し出して、ひらりと身をのし上げたかと見ると、対岸にいる人に向って吸いつくように飛びかかったのを見て、
「あれ危ない」
お雪ちゃんがそれを遮り止めようとしたのか、また自分ももつれ合ってそれと一緒に飛んで行こうという気になったのか、その途端に自分だけがハネ返されて、後ろの岩壁へ仰向けに打ちつけられてしまいました。