Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 268.946 Zeichen · 520 Bildschirme

Aozora Bunko

そうすると、絶対的の向う岸で、

「ホ、ホ、ホ、あなたはここへ来られません、そこで見ていらっしゃい」

お雪ちゃんは眼前で、お銀様という人の肉体の怖ろしい躍動を見せられてしまいました。

その怖ろしい躍動を真似るだけの力も、妨げるだけの力もないお雪ちゃんは、歯を食いしばって、眼を閉づるよりほかはありません。

一旦つぶった眼を開いて見ると、欄干のあったと思う対岸には、鉄の棒の荒格子がすっかりはめられていて、その中は以前と同じ洞窟のようでありますけれど、白衣に尺八のすさまじい風流人の姿は見えず、大きな鳥の羽ばたきの音が聞えました。

それは昼のうちから自分たちの視覚を攪乱していた大鷲が――この牢の暗い中に、ただ一羽、空で見たところよりも、こうして捕われているところを見ると、五倍も十倍も大きく、獰猛に見えるのでしたが、その大鷲がこちらには頓着せずして、しきりに下を向いて、その鋭い嘴を血だらけにして何をかつついて食べている。深い爪でしっかと抑え、その血だらけの鋭い嘴の犠牲にあげられているものを何者かと見ると、ああ、それは今のお銀様です。お銀様は、大鷲の両足にしっかり押しつけられて、面といわず、胸といわず、ところきらわず、その深い嘴でつついては食われつつあるのです。