Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme
巻が並べたので、
「いやに女の方にばかり肩を持ちたがるじゃないか」
と、またしても伊太夫から冷かされたが、それでも取巻は一向にめげず、
「全く、あの女子はよい女子でしたねえ、こう、少し淋し味はありますが、それがかえって魅力でございまして……いまだに眼についてはなれません。実際、あれが生き返ったのですから、ただは置けない道理じゃございませんか、その当座はひとごとならず気が揉めました」
その当座だけではない、今もなお気が揉めているから、こんなことも口へ出るのだろう。そこでお角さんが、
「心中の片割者なんか、女ひでりの世じゃあるまいし」
お角さんにけし飛ばされても取巻はひるまない。
「ところが、かえって一段と気が揉めましてな、どんなまずい女房も、後家になると色っぽく見えると言いますからなあ、片割となってみますと一層惜しいものでした、あの女子だけはただは置けないと、その当座は正直のところそう思いましたよ。もう、二三人の子供が出来てるんでしょうがねえ、今の御亭主の面が見てやりたいです」
「よけいな心配をしたものです」
お角さんは深く取合わないが、何か一道の魅力がありそうで妙に気が引かれる。