Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 319.771 Zeichen · 617 Bildschirme
男を殺して、自分だけが生き残った女の尽きせぬ業というものが、ほんの行きずりのこの取巻屋をさえ、いまだに引きつけている魅力というものを以てして見ると、その女も、必ずそれからまた罪を作り出しているには相違ない。
さればこそ、三輪の里には業風が吹きそめて、藍玉屋の金蔵はそれがために生命をかけた。そこまでは、この一座の誰でもが知らない。とにかく無事に永らえているとすれば、あの女にも、はや二人三人の子供があってよいはずと、その辺にだけ気を揉んでいる間は無事でしたが、その時に船首の方に当って、急にけたたましい声――
「ござった、ござった、正体が届きましたよ、御推察の通り抱合い心中、それそこに流れついた土左衛門とお土左がそれじゃ」
湖面を見つづけていた船頭の叫びで、水手共が、よってたかって眼を皿のようにする。
二間ばかり近く、波の間に、ふわりふわりと浮いては沈み、沈みては浮び来る物体がある。予備知識がもう十二分に出来ているから、誰もそれを見誤るものはない。しかも、浮きつ沈みつして、上になり下になり流れ漂う物塊は、人間の死骸が二つ、からみ合ってたがいに放さない形になったまま、見た眼では、まだたしかに息が通っている、生温かな肉塊とさえ見えるのが重なり合って、船をめがけて、からまって来るのです。