Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme
「お玉、お前まあ、よく会って話をしてみるがいい」
海の風が神前浜の方から吹いて来て与兵衛の声を消す。お玉はよく聞えなかったから、返事をしないで黙って歩くこと暫し、
「さあ、ここへ入るのだ」
入江に近い大きな材木小屋。
お玉を入れると直ちに与兵衛は戸を立て切ってしまいました。
「手を引いてやる、暗いから用心をして来さっしゃい」
船をこわした古い材木と、削りぱなしの材木との累々たる間を、与兵衛に手を引っぱられて行くお玉は気味が悪くてなりませんでした。もし相手が与兵衛でなかったならば、お玉は一歩も中へ進み得なかったであろうと思われます。
「お玉さん、退引ならねえ行きがかりで、俺もその人を匿っているんだ、誰にも知られてはならないが、お前は別だから連れて来たんだ」
与兵衛がこれほどに匿い立てをするその人は、いかなる人で、何の義理があるか、それらもまたお玉にはわかりませんでした。
「あの、なんでございますか、男のお方でございますか、女のお方でございますか」
「男の方だよ」
暗い中を暫らく行くと、石段があって下へ下へと降りて行くようになっていて、下からは塩気を帯びた風が吹き上げて来るようでありました。