Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠2

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

「あいつはたしかに甲州者なんでございます」

兵馬に向って七兵衛が言う。

「どうしてそれがわかります」

「言葉にも少し甲州訛りがありますのと、それからあいつの手に入墨があるのでございます、そいつが甲州入墨と、ちゃんと睨んでおきましたよ」

「甲州入墨というのは?」

「手首と臂の間に二筋、あれこそ甲府の牢を追放しにされる時に、やられたものに違いございません」

「甲府を追放されたものが甲州へ入るとは、ちと受取りがたい」

「なに、あいつらはそんなことに怖っかする人間ではございません。なんでもこの辺の間道を通って、甲州入りをしたものに違いございませんが、あいつが盲目と足弱をつれて、どういう道行をするかが見物でございます。これから川岸を西行越え、増野、切久保、福士と行くうちに、何かひっかかりが出て来るから見ていてごらんなさい、無事に身延まで伸せたら、この七兵衛が兜を脱いでしまいます」

「しかし、間道から身延へ出ないで、信濃路へ紛れ込むようなことはなかろうか」

「どうしてどうして。あれごらんなさい、あの白根山の山つづき、鳥獣でさえも通えるものではございませぬ。どのみち、水が低いところへ落ちて来るように、あの道を出たものは、いやでもこの富士川岸へ落ちて来るのが順なのでございますよ」