Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme
お豊は、ホッという息をつき、大急ぎで引っかけた着物の襟を直してその人の後ろ影を見送るのでありましたが、やっぱり、これはこの山に住む修験者か山伏のなかの一人――自分が今たずねて行こうとする修験者のお弟子かも知れぬ、或いはその修験者かも知れぬ。只人ではない、里の人でないにきまっているけれど、それにしても困ったことであります。
「水垢離の現場を人に見られたら、その功力が亡びる」
これは、やっぱり六助がそう言った。
そんなら、たとえ修験者であろうとも、山伏であろうとも、人の眼に触れてしまった上は、もうもう水垢離の信心はフイになった――お豊は気が抜けたが、急に腹立たしさが込み上げて来ます。帯を結びながら、その白衣の男のあとを睨まえて歯噛みをしたのでした。水につかっていた時の心強さも清々しさも無残に塗りつぶされた業のつきない身体。清浄に返る懺悔を妨げに来た天魔と、白衣の人を、お豊としては怖ろしいほどの形相で見つめていると、気のせいか、その笠から洩れる背丈、恰好、ことに肩つきや、身の聳え、たしかに覚えのある姿であります。
この時、お豊の頭脳のなかにきらめいたものは、ほかでもない人相書。