Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme

Aozora Bunko

忙がしい中で手を打って女中を呼んで、燗の代りをいいつけて、

「では、これだけいただきましょう」

「それは相成らん」

「拙者はこっちの方を少しばかり」

「どう致しまして」

「ここなら頂けますか」

「なかなか以て」

「左様ならば、ホンの少々だけ」

「御免を蒙ります」

「これはこれは。あれも下さらない、これも下さらない。しからばホンの三目だけ」

「その三目をやっては全体が活き返る。さあその次は」

「ごようしゃを願います。左様ならばこれだけ」

「以てのほか……しかしながら、これで拙者の方の劫種が尽きたわい、あれとこれと交換では割に合わぬ、じゃと申して、もうほかには種がない、こりゃ劫負けかな」

「そのくらいは負けていただかないと碁になりませぬ」

「さあ、これでまた局面が逆転した、悪かったな」

神尾は当惑して暫く考えていると、またしてもその手が盃に触れる。

「これでホッと一息致しました」

隠居はホッと息をついて盃を取り、飲みぶり面白く乾すと、

「さあ、難石だ」

といって神尾もうっかり唇まで持って行った酒を、チビリと一口飲んでしまって、

「あ」

取返しのつかないというような面。

「こりゃ、のんでおくか」