Japanische Klassiker mit Furigana
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てんぽうのひこうじゅつ
天保の飛行術
野村 胡堂
Lesen Sie 天保の飛行術 (てんぽうのひこうじゅつ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.024 Zeichen · 28 Bildschirme
「こんな事をされて、黙って引っ込む私と思うか、――お気の毒だが、加州中将様は飛行具を拵えさせて、謀叛の企て隠れもないと、この私の口から、公儀隠密へ教えてやったが、驚いたか」
「や、なんと言う」
奥村主殿さすがに仰天しました。此の間から怪しい男が領地内を俳徊し、白山にも登ったと言われているのが、全くの風説ばかりではなくなりそうです。
「そうでなくてさえ大公儀から睨まれて居る加賀百二万石、――銭屋五兵衛に抜け荷を扱わせて、軍用金まで拵えて居ると、江戸では今にも軍が始まるような噂だ。いずれは木端微塵に吹き飛ばされる加州の身の上と知らないのか、――ざまア見やがれ」
お通の啖呵は虹のようでした。
「や、己れ舌長な――許さんぞ」
奥村主殿は一刀を引き抜いて、女の前にズイと出ました。
「私を斬る気かえ」
「お、望みに任せてやる」
サッと斬っておろした刀、お通は身を退いたが及びませんでした。右肩先を、深々と斬られて、どうと後ろに轉びます。
「あッ、何をするッ」
藪蔭から飛び出して、手負いのお通を庇ったのは、旅人の清作でした。役目も、身分も、前後の事情を忘れ果てて、激情に駆られた生一本の姿です。