Japanische Klassiker mit Furigana
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てんぽうのひこうじゅつ
天保の飛行術
野村 胡堂
Lesen Sie 天保の飛行術 (てんぽうのひこうじゅつ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.024 Zeichen · 28 Bildschirme
「其方何者だッ」
奥村主殿が血刀を構え直して一喝すると、鶴次郎はその後ろに隠れ、物馴れた若党達は、バラリと三方に散って清作に狙い寄ります。
「誰でも宜い、その女を手に掛けるとは、あまりと言えば不仁」
「何を、其方の知ったことか、――それより、今頃此の山にうろうろするのは怪しい奴ッ、それッ」
奥村主殿が手を挙げると、六人の若党、三方からパッと飛び付きます。
「えッ、こうなれば容赦はしない、来い」
飛び付くのを、一人二人を犬ころ投に投げ出しましたが、相手は得物得物を持って競いかかるのに悲しいことに清作は、世を忍ぶ役目柄、身に寸鉄も帯びることを許されなかったのです。
「逃げて、逃げて下さい、――此処に居ては悪い、――此の場は私に任せて――」
手負のお通は、後ろから呼びかけますが、こうなっては、手を出さない約束の清作も、今更引くに引かれません。
「心配すな、助けてやる」
又も一人をハネ飛ばした清作、少しの隙を狙って手負いのお通を抱き上げると、攻撃の手薄な方を狙ってサッと身を退きました。が、それはなんという恐しい運命の罠だったでしょう。這松と雑草とに隠されて、其処には千仞の谷の口が、ポカリと開いて居たではありませんか。