Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いきにんぎょう

天狗笑い

豊島 与志雄

Lesen Sie 天狗笑い (いきにんぎょう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.400 Zeichen · 44 Bildschirme

Aozora Bunko

すると王子はこう答えました。

「高いところからまわりを見おろすのが一番面白い。世の中にこれほど面白いことはない」

どうにも仕方がありませんでした。それで皆は相談して、その癖が止むまでしばらくの間、王子を広い庭に閉じこめることになりました。庭には木も石もなく、ただ平らな地面が高い壁に取り巻かれてるきりでした。王子は朝から夕方まで、この庭の中に閉じこめられまして、どこを見ても、自分があがれるような高いものは、なに一つありませんでした。そして、とうてい登れないほどの高い壁が四方にあるだけ、なおさらつまらなくなりました。いろんな遊びごとを皆から勧められても、王子は見向きもしませんでした。芝生の上に寝ころんで、ぼんやり日を過しました。

ある日も、王子は芝生の上に寝ころんで、向うの高い壁をぼんやり眺めていました。壁の向うには、青々とした山の頂が覗いていました。その山の上には白い雲が浮んでいて、さらにその上遠くに、大空が円くかぶさっていました。

「あの壁の上にあがったら……、あの山にあがったら……、あの雲にあがったら……、そしてあの空の天井の上に……」

王子は一人で空想にふけりながら、大空を眺めてるうちに、いつか、うっとりした気持になって、うつらうつら眠りかけました。