Japanische Klassiker mit Furigana
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いきにんぎょう
天狗笑い
豊島 与志雄
Lesen Sie 天狗笑い (いきにんぎょう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.400 Zeichen · 44 Bildschirme
と鳴きました。
「鳴いたり鳴いたり、狸の鳴き声」
すると見物人は喜びました。誰もまだ、狸の鳴き声を聞いた者がありませんでした。皆静まり返って耳を澄しました。ところが、いつまでたっても人形は鳴きません。甚兵衛はまたくり返しました。
「鳴いたり鳴いたり、狸の鳴き声」
それでもまだ人形は鳴きませんでした。鳴かないのも道理です。人形の中の猿は、狸の泣き声を知らなかったのです。甚兵衛はそんなこととは気づかないで、三度くり返しました。
「鳴いたり鳴いたり、狸の鳴き声」
すると人形は大きな声でこういいました。
「狸の鳴き声、知らない知らない、キイ、キイ、キャッキャッ」
それを聞くと、小屋の中は沸き返るような騒ぎになりました。「狸の声を人形も知らない――人形が口を利いた――猿の鳴き声をした」とてんでにいいはやして、見物人のほうが踊りだしました。
甚兵衛は初め呆気にとられていましたが、やがて程よいところで挨拶をして、その日はそれでおしまいにしました。
甚兵衛と猿と二人きりになりますと、猿は顔から汗を流しながらいいました。
「甚兵衛さん、今日のように困ったことはありません。狸の鳴き声を知らないのに、鳴けとなん遍もいわれて、私はどうしようかと思いました」