Japanische Klassiker mit Furigana
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たじゅうとそのいぬ
太十と其犬
長塚 節
Lesen Sie 太十と其犬 (たじゅうとそのいぬ) von 長塚 節 (ながつかたかし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.769 Zeichen · 32 Bildschirme
五
太十はそれを知って居る。そうして肉の註文を受けたことが事実であるとすれば赤は到底助かれないと信じた。赤犬の肉は黴毒の患者に著しい効験があると一般に信ぜられて居るのである。太十は酷く其胸を焦した。
五
次の日に懇意な一人が太十の畑をおとずれた。彼は能く来た。そうして噺が興に乗じて来る時不器用に割った西瓜が彼等の間に置かれるのである。白い部分まで歯の跡のついた西瓜の皮が番小屋の外へ投げられた。太十は指で弾いて見て此は甘いと自慢をいいながらもいで来ることもあった。暑い日に照られて半分は熱い西瓜でもすぐに割られるのであった。太十の鬱いで居る容子は対手にもわかった。
「おっつあんどうかしやしめえ」
対手は聞いた。太十は少時黙って居たが
「いっそのこと殺しっちまあべと思ってよ」
ぶっきら棒にいった。
「何よ」
と対手はいった。然しそれが余り突然なので対手はいつものように揶揄って見たくなった。
「まさか俺がこっちゃあるめえな」
とすぐにつけ足した。
「どうせ犬殺しの手にかけるなら自分でやっちまった方がいいと思って……」
太十は口をしがめた。
「それじゃ、おっつあん赤か、どうしたんでえまあ」