Japanische Klassiker mit Furigana
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たじゅうとそのいぬ
太十と其犬
長塚 節
Lesen Sie 太十と其犬 (たじゅうとそのいぬ) von 長塚 節 (ながつかたかし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.769 Zeichen · 32 Bildschirme
他の一人がいった。
「どこらだんべ」
落したと思った一人は熱心に聞いた。
「西から三番目の畝だ、おめえが大きいのを抱えた時ちゃらんと音がしたっけが其時は気がつかなかったがあれに相違ねえぞ、こっそり行って探して見ろ」
太十が復た眠に就いたと思う頃其一人は三番目の畝を志して蜀黍の垣根をそっと破ってはいった。他のものは垣根の外でひそひそと笑いながら見て居た。蚊帳にくるまった時太十は激怒した。蚊帳の釣手を作ってまた横になったが彼は眠れない。自分にも聞かれる程波打った動悸が五分十分と経つうちにだんだん低くなって彼は漸く忌々しさを意識した。そうして彼は西瓜は赤が居ないから盗まれたと考えた。赤が生きて居たら屹度吠えたに相違ないと思った。そうして彼は赤を殺して畢ったことが心外で胸が一しきり一杯にこみあげて来た。彼は強いて眼を瞑った。威勢がよくて人なつこかった赤の動作がそれからそれと目に映って仕方がない。赤がいつものようにぴしゃぴしゃと飯へかけてやった味噌汁を甞める音が耳にはいったり、床の下でくんくんと鼻を鳴らして居るように思われたり、それにむかむかと迫って来る暑さに攻められたりして彼は只管懊悩した。