Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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「ダブックウ」ひょうりゅうき

「太平洋漏水孔」漂流記

小栗 虫太郎

Lesen Sie 「太平洋漏水孔」漂流記 (「ダブックウ」ひょうりゅうき) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.264 Zeichen · 37 Bildschirme

Aozora Bunko

周縁は、海水が土堤のように盛りあがっている。ことに、地球自転の速力のはげしい赤道に面した側は、まさに海面をぬくこと数メートルの高さ。さながら、大環礁の横たわる心地す――とは、はじめて“Dabukk”をみた DeQuiros の言葉だ。

この、オウストラリア大陸を発見し損なったそそっかしいスペイン人が、“Dabukk”を最初みたのが十七世紀のはじめ。しかし彼は、この化物のように盛りあがった水の土堤に、舵をかえして蒼惶と逃げ出した。そしてそこを、雲霧たちこめるおそろしい湿熱の様から、“LosIslasdeTempeturas”と名づけた。すなわち、「颶風の発生域の島々」という意味。

「なるほど」

と、もう私は一、二尺のりだすような亢奮。しかし、いまの説明のなかに判じられないようなものがある。

「その、島々というのはどういう意味だね。“Dabukk”のなかには、島があるのか?」

「そうだ、大小合して七、八つはあるらしい。その何百、何十万年かはしらぬが隔絶した島のなかを、君は一番覗きこみたいとは思わないかね」

と、なにやら仄めかし気にニッと笑った折竹の眼は、たしかに私を驚死せしめる態の大奇談の前触。