Japanische Klassiker mit Furigana
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かのうせいのぶんがく
夫婦善哉
織田 作之助
Lesen Sie 夫婦善哉 (かのうせいのぶんがく) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.834 Zeichen · 94 Bildschirme
、たしかだ。
それを、お前に、いやな言い方をすると、横取りされてしまったのだ。それもほかの理由でならともかく、おれが、大阪弁で言うと、「阿呆の細工に」考えだした美人投票が餌になったのだから、いってみれば、おれは呆れ果てたお人善し、上海まで行き、支那人仲間にもいくらか顔を知られたというおれが、せっせっと金米糖の包紙を廉い単価で印刷してやっていたことなぞ、自分でも忘れてしまいたいくらい、情けなく恥かしかった。
普通なら、嫉妬の余り、お前の顔を見るのもいやだと、それきり手を切ってしまうところを、そうしなかったのも、ひとつには、そんな気持を見すかされるのを怖れたからなのだ。いや、見すかされる云々は第二段、そんな大人気ない自分自身を恥じたからなのだ。
けれど、さすがにおれは、おれのおかげで……と言っても、そんなに言い過ぎではあるまい――お千鶴をわがものにして、船場新聞の社長で収まり込んでいるお前を見ると、こいつ、良い気になりやがって、いっぺん失脚させてやったら、どんな顔をするだろうか、とひそかに思わぬこともなかったのだ……。
どうだ? 驚いたか。恐れ入ったか。