Japanische Klassiker mit Furigana
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きかいなはなし
奇怪な話
豊島 与志雄
Lesen Sie 奇怪な話 (きかいなはなし) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.130 Zeichen · 14 Bildschirme
たとい恋人の指先や乳首や耳朶であろうとも、一度切断された場合には、それを愛撫することは、一種の変態性となり、一種の怪談味を帯びてくる。人の指先や乳首や耳朶を切りそぐことが、その近親者にとって、最も残忍な刑と感ぜられるのは、単に苦痛の想像に依るばかりでなく、切りそがれたそれらのものが、愛する人の一部分から、他の不気味なものへと転位する故にも依る。
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切断された部分は、特殊な不気味さを持つが、切断されない部分も、その部分だけを抽出して鑑賞すると、特殊な風味を持っている。その風味を、ひょいと味って見ようとした者に、サラヴァンという男がいる。
サラヴァンは、ジョルジュ・デュアメルの小説中の人物だが、或る商事会社に勤めていて、社長の前で事務の説明をしている時、ふと社長の左の耳に眼をとめる。それは普通の耳で、大きくて、毛が生えていて、斑点のある、単なる肉片だが、それでいて変に心を惹く。彼の子供はその耳のところにかじりつくし、或るタイピスト嬢はその耳の後ろにキスしたことがある筈だ。触ってみていけないという法はあるまい。サラヴァンはそっと手を差出す。