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Japanische Klassiker mit Furigana

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きだんクラブ〔せんごばん〕

奇談クラブ〔戦後版〕

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.177 Zeichen · 22 Bildschirme

Aozora Bunko

ある日――よく晴れた冬の午後、銀子はいつものように深沢深のアパートに来て、狭っ苦しい四畳半に膝を突き合せたまま、近頃稽古し始めた、ロバート・フランツのリードを歌って、深沢の忠告を聴いておりました。

アパートはどこでも高歌放吟を禁じておりますが、昼のうちは大概のことは大目に見られ、且つ銀子の声は、如何にも素直で美しかったので、アパートの隣人達も、好感こそ持て、あまり文句を言う人が無かったのです。

「その『秋に』という歌は、淋しくて静かで良い歌だが、残念なことに此処にはピアノが無いから、伴奏部との美しい調和や陰翳は味わいようは無い。ヴァイオリンではどうにも仕様が無いからなア」

深沢深は如何にも口惜しそうに、今まで銀子のために助奏していたヴァイオリンを後の方へ押しやるのでした。

「いいわ、そのうちにしっかりお金を儲けてピアノを買いましょうよ」

銀子は大して屈託をした様子もなく、豊かな頬を綻ばせて、恋人を激励するのです。

「結婚費用さえ出来そうも無いものが、ピアノまで容易に手が届きそうも無いぜ」

「でもいつかは買えるでしょう」

「ピアノさえあれば、銀子さんの歌がまだまだうまくなるぜ。