Japanische Klassiker mit Furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.681 Zeichen · 22 Bildschirme
高力家の屋敷は半蔵門外で、そちらに当主の左近太夫高長は病を養っておりますが、御嫡の伊予守忠弘は神田松永町の中屋敷に、古文真宝に構えた用人朝倉忠左衛門と一緒に住んでいるのでした。この朝倉忠左衛門は、まだ五十になったばかりの中老人ですが、慶元両度の戦に武功を立て、お家万代の礎石を据えたと信じている大変な親爺で、口やかましい事と、腕っ節の強いことでは江戸屋敷中の評判者、父左近太夫がこれを若いインテリの倅伊予守に付けて置いたのはまことにその人を得たものというべきであります。
明暦三年正月十八日の真昼、本郷丸山本妙寺の庭で焼いた呪の振袖が、一陣の狂風にあおられて寺の本堂の屋根に絡み、それが魔の火となって、見る見る本妙寺の七堂伽藍を焼き払い、火先は疾風に乗って、アッというまに本郷台から神田へと燃え下ったのです。高力家の中屋敷の面々も、最初は川向うの火事のような心持で眺めておりましたが、
「これは危い」なと気がついた時は、八方猛火の壁に囲まれて、中屋敷はまことに竃の中に投げ込んだ一片の木の葉としか見えませんでした。
「若君様には、とにもかくにも、裏門外の川岸にお立退きを願います。