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Japanische Klassiker mit Furigana

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きだんクラブ〔せんごばん〕

奇談クラブ〔戦後版〕

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.954 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

蠑螺堂の百羅漢もその例に漏れる筈もありません。その大部分は当時の富豪の趣味に媚びた、江戸末期的な絢爛たる愚作が多かったことは、想像に余りあるのですが、しかし、何時の世にも時流に擢んでた芸術家はあり、数の中には、「これは」と思う作品も決して二つや三つでは無かったのであります。

その技巧的にだけでも優れた作品が、充分な粉飾を凝らし、存分な媚を発散さして、百体の観音様に君臨していたとしたらどんなものでしょう。

ここにいう青年南郷綾麿は、百観音の中のたった一体、幕末の頃江戸伝馬町四丁目に住んでいたという、名仏師天狗長兵衛の彫った観音様に引ずられて、雨の日も風の日も、浅草阿部川町から本所五つ目の羅漢寺まで通っていたのです。

尤も、南郷綾麿が、天狗長兵衛の彫った名作観音菩薩に夢中になったのも、決して理由の無いことでありません。綾麿が初めて五つ目の羅漢寺の百観音を拝んだのは、七つの歳の春、乳母に抱かれてお詣りしたのが最初で、その頃綾麿は三千五百石取の大旗本の若様でありました。その後間もなく、御維新の瓦解と共に、身分も扶祿も御破算になり、綾麿は阿部川町の借家に、その頃流行り始めた牙彫りの内職をしながら、浜へ行って英語でも稽古をしようか、それとも思い切って身を落して、人力でも曳いて楽に暮そうか――と、そんな事を考えている