Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

きだんクラブ〔せんごばん〕

奇談クラブ〔戦後版〕

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.830 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

既に大正の始め頃、当時の左翼作家の長老堺枯川が「売文社」というのを起して、あらゆる文章の代作の需めに応じたことがありますが、東野南次の代作業は、そんな大げさなものではなく、銀座裏に小さいビルディングを持っている友人を口説いて、五階のてっぺんの小さい物置小屋を一つ借り受け、そこにテーブルと椅子を持ち込んで、

代作業

研究論文から小説まであらゆる代作の需めに応ず

わけてもあなたの恋人に送る手紙は最も効果的に代作いたします

東野南次

こういった奇抜な看板を出したのです。

さて東野南次は、弁当と魔法ビンのお茶と、煙草と新聞と、商売用の原稿用紙と万年筆を持込んで、早速翌日からくだんの事務所に出張しましたが、朝から夕刻まで頑張っていても、客は一人も来てはくれません。

東野南次という名前を見たら――という、多少のうぬぼれもあったのですが、この種の商売がヤミ屋の食料品のような、簡単に客を呼べるものでないことは、第三者から見ると、あまりにも明らかなことです。

新聞を精読して、煙草を吸って、魔法ビンのお茶を空っぽにして、ラッシュ・アワーの殺人的な混雑電車で、郊外の巣に帰る、――こういった、平凡無事な、そして限りなく退屈な日が幾日か続きました。