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Japanische Klassiker mit Furigana

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きだんクラブ〔せんごばん〕

奇談クラブ〔戦後版〕

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.841 Zeichen · 22 Bildschirme

Aozora Bunko

お菊が暇乞をしたいのは、親の郷右衛門よりも、もっともっと切実な相手があったのです。それは、町の何々座に掛っている歌舞伎芝居の花形、娘形になっては、その可愛らしさで、江戸の千両役者にも類があるまいと言われた、二十歳の中村新八郎という若者だったのです。

中村新八郎の泊っている宿屋は、お菊の家のすぐ隣で、二人は朝夕顔を見合せて、挨拶を交しているうちに、十日と経たないうちに、もう好い仲になって居りました。中村新八郎の美しさと芸達者が、お菊をすっかり夢中にさしたのも無理のないことですが、中村新八郎もまた、色子上りらしくないうぶな性格で、お菊の可愛らしさと純情に引付けられ、二人は何時の間にやら、二世かけて誓う仲になって居りました。

田舎を打って廻る芝居は、土地に馴染がつくと、二た月も三月も、中には半歳も滞在するのは例の少くないことで、中村新八郎の一座も、春から夏にかけてこの土地に留まり、中村新八郎とお菊の交情も、日を経るままに益々濃やかになるばかりでした。

その夜お菊の両親は、娘のために、意味の深い別れの宴を開きました。これが娘お菊の出世の緒口になって、思いも寄らぬ玉の輿に乗るかも知れないというのは、娘に力を落させないための口実で、実は世間の評判通り、一年の奉行の後、お金の方やお桃の方のように忽然として姿を掻消し