Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ちぎりきぬ
契りきぬ
山本 周五郎
Lesen Sie 契りきぬ (ちぎりきぬ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.757 Zeichen · 66 Bildschirme
こうして客のほうからしぜんと酒をすすめる。一杯が十杯、椀の蓋になり椀で飲みだし、食べもしない肴や菓子を注文させ、しまいにそこらじゅうの部屋の床間から花を集めて来て、それを両手で抱いて、
「おまえだけよ、あたしの仲良しはおまえたちだけだわね」
そんなことを云って、花の中へ顔をうずめて泣きだし、泣きながら眠ってしまう、そんなことも珍しくはなかった。
だがもちろん、番たびそう簡単にゆくとは定らなかった。性わるとか、おんな蕩しなどと云われる客は、却って扱いよかったが、若い職人とかお店者などで、本気になってかよって来る者には困った。そういう人たちには金は遣わせられないので、こっちで金を出して酒を取り、相手をも酔いつぶし、自分もべろべろになって暴れる。……みよしのお幸さんを自分のものにしようというのなら小判の五十枚もそこへ並べてごらん。まだくちばしの黄色いおまえさんたちの相手になるお姐さんじゃないよ、顔を洗って出なおしておいで。――そして物を投げ、着物のどこかをひき裂き、大の字にぶっ倒れるのである。それでもとびかかって来はしないかと、はらはらしながら、一方ではあまりのあさましさに涙がこぼれ、口のなかで母を呼ぶのであった。