Japanische Klassiker mit Furigana
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ちぎりきぬ
契りきぬ
山本 周五郎
Lesen Sie 契りきぬ (ちぎりきぬ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.757 Zeichen · 66 Bildschirme
「そいでそれ、みんなかあさん独りで出して呉れるの」
「但し期限つきよ、これから三十日以内になにしたらっていうの、三十日までにみごとくどきおとしたら、耳を揃えて七両二分おまけに証文を巻いてやるってさ」
「まあ驚いた、証文まで巻くなんて、かあさんどうかしたのね」
「あのひとだけはだめだって云うのよ。出来っこないって、ずいぶん客を見てきて知っているけれど、女嫌いなんていうんじゃない性分なんだって、――ああいうひとはすっ裸の女の二十人の中へ寝かしたって間違いを起すきづかいはないんだって、――くやしいじゃないの、こうなったら意地ずくだってなんとかしなくちゃならないわよ」
「ほんとよ、そうなればあたしだって」
おなつは眼をつむった。体の中に棒でも入っているような、かたい疲れの凝りが感じられる。酔いのさめきらない頭は濁って、ふいと死んでしまいたいように思ったり、死ぬくらいなら楽しめと思ったり、このごろの癖で、ともすると考えることが極端から極端へとんだ。
――死ぬって、……いったい誰のために死ぬのさ、この命はあたしのものじゃないか、この体もあたしの体じゃないか、……なんで死ななきゃならないのさ。