Japanische Klassiker mit Furigana
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ちぎりきぬ
契りきぬ
山本 周五郎
Lesen Sie 契りきぬ (ちぎりきぬ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.757 Zeichen · 66 Bildschirme
しかしそれは監視するというのではなく、使ってゆけるかどうかをためす意味のようだった。茶をたてさせてみたり、台所で煮物をさせたり、小さな買物の帳面をつけさせたり、さりげなく古い文反故を読ませたりした。
「よほどお躾が厳しかったとみえるのね。お年のわりにしては少しできすぎるくらいなさるわ」
伊代はそんなふうに云い、また近在にある自分の実家の弟にやるのだといって、手紙の代筆なども書かせたりした。
精之助は大寄合という席だけで、臨時の会合でもない限り月にいちど登城すればよかった。たいてい家にいるが、いつも友達が訪ねてくるし、三日めくらいには誘われて外出し、夜おそく帰ることも珍しくなかった。――友達には碁将棋とか謡などに凝っている者があって、彼もすすめられていちおうはやってみたという。だがどれひとつとしてものにならなかった。
「碁は目の数が多すぎて、頭がちらくらするっておっしゃるんですよ」伊代が笑いながらそんな話をした。「――将棋ではもっと面白いことがありました。衣巻さんというお友達が、この方もぶきよう組だそうですけれどね、お二人で同じじぶん将棋をお始めなすったんでしょう、いつか猿山という湯治場へいらしって、退屈だから将棋をしようということになったのですって」