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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちぎりきぬ

契りきぬ

山本 周五郎

Lesen Sie 契りきぬ (ちぎりきぬ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.757 Zeichen · 66 Bildschirme

Aozora Bunko

それから友人たちの話をし、こんどは自分の少年時代のことを語った。しいて話題を捜すというふうでもない、おちついた静かな調子なのに、話はなんの連絡もなくこっちからあっちへとび、いろいろな断片を順序もなく並べてみせる感じだった。

――酔っていらっしゃる。

おなつはこう思った。いつもより、量を多く飲んでいるし、話しぶりとは反対に、絶えず身じろぎをし、常とは違ったまなざしで、ときおり燃えるようにこちらを瞶めた。

「少し過したな、もう寝よう」

こう云って立ったとき、彼がよろめいたので、おなつは反射的に手で支えた。彼はその手を押えた。力のこもった、火のように熱い手であった。しかしそれはほんの僅かな接触で、彼はその手を放してすぐに立ちなおり、

「大丈夫、なんでもない、大丈夫」

こう云って廊下へ出ていった。――そのとき彼を寝所へおくってから、おなつは手早く髪をとき、派手な色の下着に替え、顔へうすく化粧をした。そうして忘れていたように装おって、水と湯呑を載せた盆を持ち、そっと寝所へはいっていった。

動悸がひどく高く、膝のあたりが震えた。彼は暗くしてある行燈の、仄かな光のなかで、暴く呼吸しながら仰臥していた。