Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちぎりきぬ

契りきぬ

山本 周五郎

Lesen Sie 契りきぬ (ちぎりきぬ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.757 Zeichen · 66 Bildschirme

Aozora Bunko

子供は満腹したらしく、乳首は啣えるだけで、いいきげんに鼻声をたてながら、しきりに手で両の乳房をいたずらしていた。

「さあもういいの、おいたをするならないないちまちょ、ね、またあとで――」

そう云って乳を離そうとしていると、本屋へ通ずる道を、いねがおちつかないようすで登って来た。――本能的な敏感とでもいうのだろう、せかせかしたいねの足どりを、緊張した顔つきをみるなり、おなつははっと色を変え、子供を抱いて逃げるように座敷の中へ隠れた。……いねはあとからはいって来ると、縁側の障子を閉め、おなつの側へ来て坐った。

「あの方がおいでになったのよ、北原さんとおっしゃったわね、――今までお相手をして、いろいろお話をうかがったけれど」

「あたしが、いるって、――ここにいるって、云っておしまいになったの」

「まだそうは云わないけれど、でもすっかり知っておいでになったらしい、あんたいつかお侍とすれちがったときどうとか云ってたでしょ、あのときの方が衣巻さんとかいうひとで、それから手をまわしてお調べになったようだわ」

「それでもおかみさんが知らないと云いとおして下されば、人ちがいだと云って下さればいいわ、そうでなければあたし」