Japanische Klassiker mit Furigana
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ちぎりきぬ
契りきぬ
山本 周五郎
Lesen Sie 契りきぬ (ちぎりきぬ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.757 Zeichen · 66 Bildschirme
――あのひとなら申し分なしよ、よそへとられないうちに早くお貰いなさい。
こう云ってすすめたそうである。このあいだには親しい友達の意見もきいたが、みんな賛成で、素性がはっきりしない点を除いては、誰にも異議がなかった。――精之助はおなつの素性がわかっていたし、なにしろ三枝の叔母がたいそう乗り気で三枝の養女にすればいいと云うくらいだったから、その点は心配することはないと思った。
「こうしてまわりの者の意向はすっかり定った。だがそうしているうちに日が経った。聞くところによると三十日という日切だそうだ――おれは正面からそれまでのゆくたてを話そうかと思った。しかしおまえの気性では、それを聞いたら恥じて、出てゆくだろうと思った」
精之助は眼を伏せ、感情を抑えるように息をついてから、また静かに続けた。
「詳しくうちあければ、恥じて出てゆくだろうし、そのままにしていても、日限が切れれば出てゆくだろう、……おまえのようすでそれがわかった、……どうしたら出てゆかずに済むか。どうしたらひきとめることができるか、いろいろ考えたうえ、方法はひとつしかないと思った、――言葉も詩も要らない、慥かな愛情でむすびつくのがさきだ、ほかのことはすべてそのあとでいい、そう思った」