Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

おくさんのいえで

奥さんの家出

国枝 史郎

Lesen Sie 奥さんの家出 (おくさんのいえで) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.851 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

という声がした。

つづいて背後から声がした。

「肝腎な所を! 目茶目茶だ!」

鉛色をした唇を持った、不良青年の声である。

肩にかかっていたお嬢さんの手が、ダラリと下ったのは云う迄もない。

「ね、もう可いじゃァありませんか」

お嬢さんの感情を傷付けないように――彼女といえども商売があり、食って行かなければならないのだから、――私は充分穏に云った。

「もうそろそろ日も暮れます。仕事だって出来ないじゃァありませんか」

その時犬の吠声がした。

で、私は展望台を見た。

私の奥さんと情夫とが、互にしっかり抱き合って、展望台に佇んで、私の方を見ているのを、私は平然と眺めやった。

「二兎を射たのさ、何んでもありゃァしまい」

外濠稲荷まで来た時である、帽子を取って挨拶をした。

「キネマ会社の技師諸君、失望したでしょうね、大写は!」

で、私は遊園地を出た。

市街の往来は雑踏していた。所謂ラッシュアワアであった。

「鉛色の唇の先生が、監督なんだから恐れ入るよ。……よく西洋にはあるやつだ、気取った青年へ女優をけしかけ、エロチックの振舞いをさせて置いて、それをこっそりヒルムに撮って、会員だけで見て楽しむ。