Japanische Klassiker mit Furigana
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おくさんのいえで
奥さんの家出
国枝 史郎
Lesen Sie 奥さんの家出 (おくさんのいえで) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.851 Zeichen · 28 Bildschirme
山鳥や鴨の剥製が、大威張りでその中に蟠踞している。
「成程ここの遊園地では、ありふれた鳥の剥製さえ、大切な大切な設備なんだろう」
ゴーッ! 電車だ! ××行き電車だ! 緑色の車体、27の番号、七八人の客が乗っている。どうぞ彼等の航海に、――全く航海に相違ない、××までつづいている新緑は、波というより云いようが無い。……で彼等の航海に、どうぞ平和がありますよう。
いや全く××電は、時々軌道から外れるというから。――
また青年は――私のことだが、ブラブラ先の方へ歩いて行った。
と、若い楓。若い桜。
と、金網を張り詰めた、六角形の鳥籠があった。高さ一間に、周囲三間、そんなにも大きな鳥籠だのに、鳩ばっかりが巣食っている。
数にして十羽である。
おお神よ、この遊園地は、それでは貧しいのでございましょうか?
クッ、クッ、クッ、鳩の声だ! 佇んで見ている私の方へ、翼を揃えて集まって来た。
何か呉れるとでも思ったのだろう。
餌物を惜しんだからでは無い。買う金が無かったからでもない。懐中手を出すのが大儀だったからだ。いや夫れからもう一つ、愁に沈んでいたからだ。……で、私は呉れなかった。