Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

おんなとぼうし

女と帽子

豊島 与志雄

Lesen Sie 女と帽子 (おんなとぼうし) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.614 Zeichen · 33 Bildschirme

Aozora Bunko

もう私は、何にも外のことは考えたくありません。今村さんと、せめて、一夜だけの道行きをしたい、それだけです。淋しいのは、こうして今村さんと一緒に自動車にゆられています今、あの昔の遠い火がどこかへかすんでしまったことです。こんな筈ではなかったのですが……。いえそれよりも、あの時、私はなぜ今村さんに凡てを許してしまわなかったのでしょうか。私の方から誘惑することも出来た筈です。私はもう汚れています。汚れない前に、あの時、なぜ今村さんに身を投げ出していかなかったのでしょうか。今となっては、もう遅すぎます。けれど、夢を見ることなら、あの続きの夢を見ることなら……。それにしても、今村さんの手、どうしてこう冷たいのでしょう。いえ、顔を見てはいけません。眼をそらして、遠くを見つめて、続きの夢を見るのです……。

三

大森の海は、汚くて泥くさかったが、俺にはさほど嫌ではなかった。今村と波江の室からは遠慮して、第一そんなところ可笑しくて見ちゃいられないし、俺は夜遅くまで海岸をぶらついて、それから、コンクリートの岩壁の隙間にはいり、ぐっすり寝こんだ。

頭の上で何か音がしたので、眼をさますと、驚いた、こんなに早く、といってももう八時頃だったろうか、今村が下駄をつっかけ、庭の境の竹垣をまたぎ越して、岩壁の上に来て屈みこんだ