Japanische Klassiker mit Furigana
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にょきゃくいっしゅうかん
女客一週間
豊島 与志雄
Lesen Sie 女客一週間 (にょきゃくいっしゅうかん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.724 Zeichen · 26 Bildschirme
そしてその時とちっともちがっていない室だ、棚には古い安物の壺や皿が竝んでいる。棚の下の書棚には美術や文学の雑多な書物が竝んでいる。出張窓の花瓶には嘗て花が※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)されたことはない。そしていつも変らぬ椅子や卓子。そして日に日に、目にはつかないが、埃や人の手垢が多くなってるきりだ。だが今夜、彼女は一人で、泊るつもりで闖入してきている。バーの女給から、小賢しい変に真面目な女性に蝉脱している。白粉気が少くて、耳朶が一寸美しい。いつもの無邪気な大きな目玉だが、その奥に、或る思想が――計画とか考案とか決心とかではなく、対象なしに独自的に存在するある思想が――静に湛えている。
「何だか、当がちがったんだろう。」
島村陽一がそう云って、彼女の目を覗きこむと、彼女の眼は一寸まごついて、それから笑った。皮肉がかった笑いだ。がそれきりで、彼女の眼の奥の或る思想は、捉え難く静まり返ってしまう。どうしたんだときいても、どうもしないという。喧嘩をしたのでもない。何かが気に入らなかったのでもない。追い出されたのでもない。