Japanische Klassiker mit Furigana
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にょきゃくいっしゅうかん
女客一週間
豊島 与志雄
Lesen Sie 女客一週間 (にょきゃくいっしゅうかん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.724 Zeichen · 26 Bildschirme
一
キミ子は、何の前触れもなしに飛びこんできた。夜の十二時近くだ。それでいて、酒気もなく、変に真面目だ――ふだん、酒をなめたり、はしゃいだり、ふざけたりしてる者が、何かの拍子にふっとそんなことを忘れて、まじまじと眼を見開いてる、そういう調子外れの真面目さだ。そして云うのだ――「よく起きていらしたわね。……お忙しいの?……あたし、今晩泊めて下さらない? いけないかしら……。」だが、そんなことは、彼女には問題じゃない。泊ることに、自分一人できめてかかっている。アトリエのとっつきの、狭い控室に通ると、片隅の小卓に、革のハンドバックと小さな風呂敷包とを置いて、長椅子にゆったりと腰を下してしまった。そして珍らしそうに室の中を眺めている。断髪の毛がおかっぱに垂れ、大きな目玉が澄み、何だか知れない興奮の色が頬に残っていて、紫縞の銘仙の着物の襟を合している、それが、年齢より四つも五つも若く、まるで十四五歳の少女のようだった。
「この室、いつもとちがってるわ。」
いつもと……じゃあるまい。彼女が来たのはたった一度きりだ。二三人の男たちに、酒の上で、一寸引張ってこられただけだ。