Japanische Klassiker mit Furigana
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おんなきしゃのやくわり
女記者の役割
野村 胡堂
Lesen Sie 女記者の役割 (おんなきしゃのやくわり) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.039 Zeichen · 32 Bildschirme
写真は台紙にも何んにも貼らず、大急ぎで焼き付けたばかりと見えて、まだ生々しく濡れて居りますが、中折帽を目深に、手巾で下半分を隠した曲者の顔が、非常に明瞭に映って居ります。
鼠らしい中折の下から、縁の太いロイド眼鏡の光って居る具合、手巾の下から、ほんの少しばかりですが、山羊髭の覗いて居る工合、どう見てもそれは、東京新報の記者、高城鉄也の肖像でなければなりません。
「これは高城の写真じゃないか」
千種十次郎が驚きの声を挙げると同時に、
「アッ」
園田氏は、殆んど真っ蒼になってしまいました。
「どうなされたのです園田さん」
「イヤイヤ、こんな筈は無い、こんな筈は無い」
園田氏は汚れたものを見せられた人のように、頑なに写真を花房一郎の方へ押し返し乍ら、
「とても信じられない。花房君、この写真はどうして撮ったのです。いやどうして手に入れたのです」
「お疑いは尤もですが、これは決して胡麻化しや偽物の写真ではありません、確かに昨晩書類を金庫に返しに来た曲者の写真です。――斯う申したばかりでは、まだ御信用が無いかも知れません。実は此写真は、紫外光線で撮った写真なのです。申すまでもなく、写真の乾板は紫外光線を一番よく感じます。