Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おんなくつしたのはなし

女靴下の話

西東 三鬼

Lesen Sie 女靴下の話 (おんなくつしたのはなし) von 西東 三鬼 (さいとうさんき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 759 Zeichen · 2 Bildschirme

Aozora Bunko

人間五十年以上も生きていると、誰でも私の経験したような、奇々怪不可思議な出来事に一度や二度はあうものであろうか。恥を語らねば筋が通らない。話は私の朝帰りから始まる。

およそ朝帰りなるもの、こんないやな気持のものはない。良心の苛責といつてしまえばそれまでだが、もつと肉体的な、たとえばズボンのうしろに自分だけが尻尾をぶらさげて歩いているような、みじめな気持である。さてその朝帰りの玄関に出迎えたのが、思いきや、十年以上も会わない東京の悪友で、のつけのセリフが「おかえんなさいまし、エヘヘ」であつた。どさくさまぎれの朝酒が夕酒になる頃、初老の悪童のろけていうには、輓近二十二歳の愛人を得て昼夜兼行、多々ますます弁じているが、艶運はともかく、このホルモンは羨ましかろう等々。

さてその晩の汽車で帰る彼を大阪駅に送り、別杯さめやらぬままにウトウトしながら郊外電車で帰宅した。そしてその翌朝、外套のポケットの煙草がほしいと家人にいうと、煙草の代りに指先にぶらさげて来たのが、何と二、三度用いたナイロンの女靴下。それが膝までの短いやつで、ごていねいに両足そろつている――。