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Japanische Klassiker mit Furigana

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こうじんぶつ

好人物

佐々木 邦

Lesen Sie 好人物 (こうじんぶつ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.609 Zeichen · 107 Bildschirme

Aozora Bunko

と安子夫人はすべて印象が好かった。

「叔母さん、越して来ちゃ如何? これなら都会生活と田園生活が両方出来ますよ」

と八千代さんに至ってはもう悉皆動いていた。

「時計を御覧」

と千吉君が言った。

「丁度五十八分で参りましたわ」

と安子夫人が応じた。

木下君は例によって馬を弄っていた。

「やあ、余り晩いから駅へ迎いに行こうかと思っていたところだ」

と成程その支度中らしかった。

「先日は主人が上りまして……」

と安子夫人は早速挨拶に及び、奥さんも出て来て、

「まあ、能うこそお越し下さいました。さあ何うぞ」

と、この方はお互に初対面だから応酬が長びく。

「君一寸乗って見る」

と千吉君はいきなり馬に跨った。安子夫人に隠し芸を見せる積りだったが、馬は何ういう気紛れか、ガクリと前脚を折って突っ伏しざま、千吉君を大地へドサリと投げ落した。それが乗ると殆ど同時だったので、助けを呼ぶ暇もなかったのである。

「何うした?」

と木下君が扶け起した時、千吉君は鼻血を流していた。安子夫人も八千代さんも駈け寄った。早速応急手当に及ぶ。

幸い怪我はなかったが、鼻血の止まった頃には鼻が尨大に腫れ上って、それが見る/\紫色を呈して来た。