Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

こうじんぶつ

好人物

佐々木 邦

Lesen Sie 好人物 (こうじんぶつ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.609 Zeichen · 107 Bildschirme

Aozora Bunko

「これは取れませんわ、毛抜きでなくちゃ」

と細君は毛抜きを持って来て試みたが、矢張り思わしくない。

「針で取りましょう」

「痛いだろうね?」

と千吉君は意気地のないことを言う。

「少しの我慢ですわ」

と細君は無論自分の我慢でない。早速針の先を焼いて何等の躊躇もなく荒療治に取りかゝった。

「痛い/\!」

「でも少し掘らなけりゃ取れませんもの」

「他の指だと思ってひどいことをしてくれるな。爪の肉はクイックといって身体中で一番痛いところになっている」

と千吉君は余り痛いので、学校時代に習った英語を思いだした。

「これじゃ手が逆ですから何うしても駄目ですわ。斯う坐り直って下さい」

と細君も自ら居住いを換えて、

「斯うよ」

と横から良人を抱くように構えた。しかし深く食い込んでいるので容易に抜けない。間もなく針先の都合上夫婦は悉皆寄り添ってしまって、頬と頬が触れ合うばかりになった。

「おゝ痛い!」

「然う動いちゃ駄目よ」

「療治が荒いんだもの、お前のは」

「動くからですわ。もう少しよ……取れたわ、到頭」

ところへ細君の姪が二階から下りて来て襖を明けたが、

「あら、御免下さい」

と慌てゝピシャリと又締めた。