Japanische Klassiker mit Furigana
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こうじんぶつ
好人物
佐々木 邦
Lesen Sie 好人物 (こうじんぶつ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.609 Zeichen · 107 Bildschirme
宅の主人よりもお上手のようでございますのよ」
「あらまあ、変ですわ。今日初めて私が承知致しましたのに」
と安子夫人は小首を傾げた。
「変でございますよ、私の方も。宅の主人はチョク/\嘘を申しますからね」
と内藤夫人も考え込んだ。
「宅のも嘘を申したのでございますわ。疾うに始めたのを今まで私に匿して置いたのです。尤も内藤さんと御一緒のことは申して居りましたが」
「今日も橋口さんへ上った筈ですが、村島さんは如何でございますの?」
「昼から上りました。矢張り御一緒と承わりましたわ」
「その辺は真正でございますね。村島さんは一昨日も橋口さんへお上りになって?」
「いゝえ、一昨日は牧野さんへ絵のお稽古に上りました。金曜の晩はいつも然う定っているのでございます」
「まあ! それじゃ話が全く違いますわ。私、又瞞されたのでございます。一昨日の晩は謡曲の後がお酒になったと申して、十二時頃大分酔って帰って参りました」
「けれどもお一人で橋口さんへお出になったのじゃございませんの?」
「いゝえ。私も謡曲にしては少し晩過ぎると存じましたから、念を押したのでございます。すると怖い顔をして、そんなに疑るなら村島君のところへ行って訊いて来い、さあ、訊いて来い、と私を睨みつけたじゃありませんか。