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Japanische Klassiker mit Furigana

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こうじんぶつ

好人物

佐々木 邦

Lesen Sie 好人物 (こうじんぶつ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.609 Zeichen · 107 Bildschirme

Aozora Bunko

「八千代さん、電信柱も下の方でコールタールの塗ってあるあたりです。後から見ると馬力か何かが中って少しさゝくれていました。刺が出ていたんですね。丁度そこへ心持ち叩く積りで手を出したから溜まりません」

「探究の犠牲ですわね」

と八千代さんは女子大学生丈けにむずかしい受け答えをして、

「そうして電柱の数は何本でございましたの?」

「それがですよ、馬鹿な話です。ズキンと脳天まで響いた拍子に二十二本だったか二十三本だったか忘れてしまったんです」

「まあ! オホヽヽ」

「しかし考えて見ると不思議ですね。この無限に広い宇宙間で、あんな針の先ほどのものが正にこの狭い爪の間へ割り込んだんですからね。私は痛いながらも偶然の威力に敬意を表しましたよ」

「刺を立てゝ敬意を表していれば世話はありませんわ。あなたは何でも余計なことをなさるからいけないんですよ」

と細君は黙っていなかった。

「全く余計なことさ。考えて見れば触る必要はなかったんだもの」

「いゝえ、電信柱なんか勘定するのが抑余計なんですよ」

「こいつは大失策だ。根本的にいけないのかい?」

と温順な千吉君は争いもしなかった。

「叔父さんは散々ね」