Japanische Klassiker mit Furigana
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こうじんぶつ
好人物
佐々木 邦
Lesen Sie 好人物 (こうじんぶつ) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.609 Zeichen · 107 Bildschirme
「やあ、大場君か。これは珍らしい。さあ上り給え」
と出て来て、自ら客人を通した。
「今日は久しぶりで君を引っ張りに来たんだが、都合は何うだね?」
と大場君は坐ると直ぐに言った。
「さあ、別に悪いこともないが、何処へ行くんだね?」
と千吉君は一寸困った。
「郊外散歩さ。彼方は好いぜ。もうソロ/\初夏の気分だ」
という大場君は目下荻窪の奥深くに文化住宅を新築中だ。毎日曜日に工事の検分に出掛ける。今日は天気が好いから、千吉君にお供を仰せつけようというのである。
「もうソロ/\工事竣成だろうね?」
「来月早々入れる。一月以上後れている。一週に一遍しか見に行かないもんだから、職人が怠けて仕方がない」
「羨ましいな。自分の家の出来る人は」
「君も建て給え。僕の近所に好いところが沢山ある」
「あっても昨今は高かろうから、君のような具合には行くまい」
「何あに、行かないにも限らないぜ。やりようさ。僕は又やっている」
「何処までも欲が深いんだね」
「でも君達と違って他に道楽がない。実は今日は君に勧めに来たんだ」
「甘い話があるなら、半口乗せてくれ給え」
と話しているところへ、安子夫人が挨拶に出た。