Japanische Klassiker mit Furigana
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かしまし(かしまし)
姦(かしまし)
久生 十蘭
Lesen Sie 姦(かしまし) (かしまし(かしまし)) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.914 Zeichen · 22 Bildschirme
……
それはそうよ、なにかというと、張りあう気でいるひとなんだから、あたしのほうにも、はじめっからツモリはあったの。薄いレモン地に臙脂の細い立縞をよろけさせたお召に、名物裂の両面綴の帯……山浦が織元をやめてひっこむ前に、一反だけ織った織留めの秀逸で、フランス代表部のモイーズさんが「無左右」の絶品だって折紙をつけたくらいのものでしょう。これだけひき離しておけば、ぜったい大丈夫と思ったのが、油断だったのよ。そうなると、ジョーゼットまがいの悪く新しがった薄っぺらなところ、浮きあがったようなレモンの色合のわざとらしさが悲しいほど嫌味で、泣きだしたいくらいになっているのに、志貴子のやつ、わざわざ手で触ってみて、「まァま、これ中村だっか。地入れがようて、サラリとして、ジョーゼットそのままですねんね。それにおみ帯の品のいいこというたら。両面錦みたい、博物館へ行っても見られへんものを見せてもろて、ほんまに眼の保養させてもらいました」なんて、ニヤニヤしているの。あたしの気持、おわかりになる? ……ええ、そう。まったく、パンセ・ヴゥ(お察しねがう)ってとこよ。……
泣きだしもしなかったわ、あなたとはちがうから……どうしてやろうと思うと、眼がチラチラして、まわりのものがみな浮きあがってくるみたい。