Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こどものびょうき

子供の病気

芥川 竜之介

Lesen Sie 子供の病気 (こどものびょうき) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.633 Zeichen · 12 Bildschirme

Aozora Bunko

多加志は妻の母の腕を枕に、すやすや寝入っているらしかった。妻は自分の来たのを知ると一人だけ布団の上に坐り、小声に「どうも御苦労さま」と云った。妻の母もやはり同じことを云った。それは予期していたよりも、気軽い調子を帯びたものだった。自分は幾分かほっとした気になり、彼等の枕もとに腰を下した。妻は乳を飲ませられぬために、多加志は泣くし、乳は張るし、二重に苦しい思いをすると云った。「とてもゴムの乳っ首くらいじゃ駄目なんですもの。しまいには舌を吸わせましたわ」「今はわたしの乳を飲んでいるんですよ」妻の母は笑いながら、萎びた乳首を出して見せた。「一生懸命に吸うんでね、こんなにまっ赤になってしまった」自分もいつか笑っていた。「しかし存外好さそうですね。僕はもう今ごろは絶望かと思った」「多加ちゃん? 多加ちゃんはもう大丈夫ですとも。なあに、ただのお腹下しなんですよ。あしたはきっと熱が下りますよ」「御祖師様の御利益ででしょう?」妻は母をひやかした。しかし法華経信者の母は妻の言葉も聞えないように、悪い熱をさますつもりか、一生懸命に口を尖らせ、ふうふう多加志の頭を吹いた。