Japanische Klassiker mit Furigana
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こどものびょうき
子供の病気
Lesen Sie 子供の病気 (こどものびょうき) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.633 Zeichen · 12 Bildschirme
などと、さもしいことを並べていた。が、その手も利かないのを見ると、手荒に玄関の格子戸をしめ、やっと門外に退散した。自分はこの時こう云う寄附には今後断然応ずまいと思った。
四人の客は五人になった。五人目の客は年の若い仏蘭西文学の研究者だった。自分はこの客と入れ違いに、茶の間の容子を窺いに行った。するともう支度の出来た伯母は着肥った子供を抱きながら、縁側をあちこち歩いていた。自分は色の悪い多加志の額へ、そっと唇を押しつけて見た。額はかなり火照っていた。しおむきもぴくぴく動いていた。「車は?」自分は小声にほかのことを云った。「車? 車はもう来ています」伯母はなぜか他人のように、叮嚀な言葉を使っていた。そこへ着物を更めた妻も羽根布団やバスケットを運んで来た。「では行って参ります」妻は自分の前へ両手をつき、妙に真面目な声を出した。自分はただ多加志の帽子を新しいやつに換えてやれと云った。それはつい四五日前、自分の買って来た夏帽子だった。「もう新しいのに換えて置きました」妻はそう答えた後、箪笥の上の鏡を覗き、ちょいと襟もとを掻き合せた。自分は彼等を見送らずに、もう一度二階へ引き返した。