Japanische Klassiker mit Furigana
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こども・こども・こどものモスクワ
子供・子供・子供のモスクワ
宮本 百合子
Lesen Sie 子供・子供・子供のモスクワ (こども・こども・こどものモスクワ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.440 Zeichen · 33 Bildschirme
日本女は空色エナメルの丸いヤカンをもっている。
廊下を曲ったところにいつも扉をあけっ放した一室がある。そこはホテルに働くものの為の休息室、食堂、職業組合のメストコム、党細胞で、一隅には赤布で飾った小図書部「赤い隅」がある。文盲者率の最も高い人民栄養労働者が彼らの文化革命と社会主義建設を達成すべき細胞である。
廊下を通る日本女の空色ヤカンは「赤い隅」の赤い色をポッチリ鮮やかに映した。隣の出版従業員組合クラブからの赤旗の歌で響くこともある。
砂糖をわりながら日本女は皿洗女としゃべった。皿洗女はやせた髪の黒い女で灰色の上っぱりを着て働きながらよく唄を唄う。
――あああ! もう直ぐいろんな実の時節だ。あなたの国でも桜ん坊や黒苺できますか? なんでもあるんでしょ? あっちでは。
――日本に黒苺あるかしら。――見たことなかった。――おいしいわね、黒苺。歯が真黒んなって閉口だけれど。
――砂糖さえたっぷり入れて煮ればね。
――一月いくら? 一キロ半? やっぱり。
――どっから果実砂糖煮の分が出ます?――
――あなたんところでは今砂糖でも煙草でもみんな外国へ出して機械になるんだからね。